本校の文系Ⅰコースにある国語科の選択授業、現代文演習や国語表現では新聞記事を教材としてよく利用します。その際に全員が共通の記事を読むのではなく、過去紙面を横断的に検索できる「静岡新聞データベースplus日経テレコン」で、それぞれ興味や関心がある記事を閲覧することを重視しています。収集する情報も国内に留まらず、世界情勢や外国のカルチャーなどさまざまなキーワードで検索することで、静岡に居ながらにして、どんどん掘り下げて幅広い情報を得られることが大きな魅力です。また、テーマや業界など絞り込み候補から選択し検索できるナビ型記事検索の機能も心強いです。生徒は新聞データベースの活用を通して記事の向こう側に広がる、自分たちが飛び出す世界を感じているようです。
近年、大学の一般入試でも人間性を重視する傾向から面接試験や、志望理由書の提出を課す大学が増えてきました。学力を高めることはもちろん重要ですが、将来について考え、志望分野への興味や関心を深めることもとても大切になっています。興味があることについて記事検索し読み比べることで、俯瞰して物事を見たり、多角的に考えたりすることもできるようになってきました。時には意見文を静岡新聞の「ひろば」に投稿することもあります。読解力や表現力だけでなく、進路意識を高めることにも役立っています。
近年本校では、地域に根ざす学校として地域とともに浜松の未来を考えよう、という趣旨のもと、総合的な探求の時間「浜市総合講座」を開設し取り組んでいます。この活動は入学時から2年間にわたる取り組みで、1年次に職業研究やビブリオバトルによるプレゼンテーション力を育成し、2年次に浜松市役所や近隣の大学と連携し、実際に浜松市への政策提言を行う実践的な活動です。新しい視点からの説得力ある提言を行うためには、浜松市の実態や政策の流れを十分にくみ取った上で、根拠のある道筋を立てなければなりません。
そこで本校は、創立120周年を機に「静岡新聞データベースplus日経テレコン」を導入しました。生徒が気付いた浜松の課題対象が、過去から現在までの間にどのような経緯を歩んできたのか、時系列に整理して記事を読み込んだり、調べるなかで出てくる派生するキーワードなどでさらに深掘りすることにより理解を深め、根拠ある政策提言につなげていきたいと思います。
120年前に産声をあげた本校は、近隣から「いちりつ」の愛称で親しまれ、浜松市内外を支える多くの人材を輩出してきました。在校生や卒業生の活躍が新聞記事で取り上げられる機会も多く、切磋琢磨しながら活動しています。今後も地域との連携をさらに深めて、浜松の未来を切り開き、地域と世界に貢献する人材を育みます。