私が担当する中高一貫生は、中学在籍時から自らの意見を新聞に投稿し、これまでにも多くの生徒の文章が掲載されました。また、社説の要約など国語力の養成を目的に新聞を利用しています。全体を俯瞰し、気になる記事を見つけて読むことで、自分の興味がどの分野にあるのかを認識できるようになります。これは新聞のもつ一覧性の利点です。目にとまった記事や社説を読むことで、問題意識が深まり、その問題に対する自分の考えを持つきっかけにもなります。
中学1年生から教えた生徒が今年高校3年生になり、それぞれの進路実現に新聞データベースを活用しています。大学では今、総合型選抜・学校推薦型選抜の定員割合が増え、志望理由書、小論文、面接の重要性が以前より増しています。また、今年初めて実施された共通テストでは、思考力、判断力、表現力に加え、複数の資料を要領よく処理することが必要とされます。新聞はこれらの力を養うのに効果的な教材です。難関校の小論文では、新しい話題や専門性の高い話題が取り上げられることもあります。新聞データベースは、最新情報やエビデンスとなる記事を効率よく検索できます。本校では自習室やパソコン室など、いつでも閲覧できる環境を整えて生徒のやる気を支援しています。
本校は「勉強としつけ」をスローガンに、確かな学力を育成し、グローバルな倫理観と社会性を身に付けた人づくりを目指しています。進学校として、大学受験に必要な学力を身に付けるために、知識習得型の学習を行う一方で、社会で必要な自ら研究を進める姿勢や能力、常に目標を持って向上する意欲や集団での協調性を備えるために、探究や課題解決型の学習をしています。例えば、公民科の「自立した18歳の育成」をテーマとした授業では、生徒自らが考え、調査を進めます。その際に、関連記事を時系列で調べ、読み比べができる新聞データベースを理想的な教材として活用しています。これまでも、先の見えない現代を「生き抜く力」を身に付けようと、思考・判断力を高める学習を進めてきました。その経験から、社会を批評できる客観性を身に付けさせることが生徒の自立に繋がると捉えています。
1年生の現代社会では、研究の進め方やポスターセッションなどの表現方法を学び、2〜3年生の政治経済では、調査技法・実験・フィールドワーク・資料の見方を、3年生では一人ひとつの探究活動を進めます。新聞データベースの活用で、3年間の学びに深みが増すと思います。