本校国語科では授業の中で新聞を活用しています。授業の初めに新聞記事のコピーを配布して生徒に意見を求めたり、教材に関連した記事を紹介・解説したりして、社会に関心を持つきっかけとしています。
私が担当する中学2年生のクラスでは、昨年度から引き続き「新聞スクラップ」をしていますが、今年はより多くの記事に触れ、要約力・意見文を書く力を養う目的で、ICT(パソコンやスマホ)を利用したスクラップを導入しました。ICTを使うことでいつでも空いた時間に文章を書くことができ、また、文章のレイアウトや写真の加工などのスキルアップも期待できます。そして、「静岡新聞データベースplus日経テレコン」を利用した他紙との読み比べや過去記事とのリンクなど、今までできなかったスクラップも可能になりました。より多くの記事に触れる機会として、積極的に活用するように呼びかけています。
また、新聞を「読む」だけでなく、自分の意見を社会に「発信」する場としても活用しています。静岡新聞の読者のページ「ひろば」に、定期的に意見文を投稿することを推奨しており、今年で5年目になります。これまでにのべ130名以上の投稿が掲載され、十代のみずみずしい感性に対し多くの方から共感をいただいています。今後もさまざまな場面で新聞を活用し、社会とつながるきっかけを作っていきたいと考えています。
公職選挙法改正によって、18歳以上に選挙権が付与されることになりました。生徒たちと社会との距離は確実に近づいたと言えます。しかし、生徒たちはその事実を受け止めつつも、定期テストの点数や模試の結果にとらわれるあまり、その時代の流れから取り残されつつあるように感じます。大学受験を一つの「通過点」として捉え、グローバル社会で活躍するリーダー育成を目指す本校にとっては看過できない課題となっています。
そんな生徒と社会の懸け橋として、HRで「新聞スクラップ」を始めました。新聞を通して社会で起きているさまざまな事象に目を向けさせることで、歴史で学んだ国際関係についての知識が現代の国際関係とリンクした生徒や、自分の将来選択についても、現在の景気や社会の動きをもとに考える生徒が見られるようになりました。
新聞により、学習と社会のつながりが分かった生徒は、より高いモチベーションで学習に取り組むようになり、自分の未来についても見据えることができるようになりました。更に、新聞記事が容易に検索できる「静岡新聞データベースplus日経テレコン」も、過去・現在・未来の懸け橋にも成り得るツールなのだと実感しました。
今後もスクラップを通じてよりよい生徒の未来創造を目指したいと思います。