2020年、現在の中学1年生から「新テスト」が始まることが新聞等で大きく取り上げられました。「新テスト」は様々な側面を持ちますが、これまでの「知識・技能」に偏った試験から、「思考力・判断力・表現力」を問う試験がはじまるということが注目されています。この3つの力の醸成に役立てようと、本校では昨年より「静岡新聞データベースplus日経テレコン」を導入しました。
実践的な取り組み例として、地歴公民科の授業で取り組んでいるNIEを紹介します。導入の目的は、生徒にもっと世の中のこと、社会のことを知ってほしいという思いからでした。生徒はインターネットやテレビで、トピックス的にニュースを目にしていても、その詳細や背景について知らない場合が多く、またそのニュースについて自分の考えを持つことは少ないです。
授業では、教科書の内容と関連付けた新聞の記事を教員側から提示、まずそれについて考えさせることから始めます。教科書に書かれている内容と世の中の出来事がどのようにつながるのか、また何が問題なのかなどを考えさせます。教科書では学べない「生きた素材」として新聞を活用します。
また生徒にはノートを持たせ、自分が気になった記事をスクラップさせ、その内容について感想や意見を書かせます。よく書けた感想は新聞の投書欄に積極的に投稿しています。当初生徒は戸惑いを見せたものの、自分が興味を持った記事は本当にどんどん読みすすめ、自分なりの考えを持てるようになってきました。「新聞離れ」とよく言われますが、興味付け次第で生徒の新聞記事への関心は高まると感じます。
「静岡新聞データベースplus日経テレコン」は主に教員が教材研究のためにも活用しています。静岡新聞だけではなく日本経済新聞などの記事が閲覧でき、またキーワード検索が可能なので、一つの出来事について横断的に調べることに適しています。
パソコン室ではパソコン50台の同時接続の利用も可能なので、今後は授業での一層の活用を進めたいと思います。
進路指導においては、生徒の希望進路に合わせた指導が不可欠です。しかし価値観の多様化が進み、生徒の希望進路先について教員側の情報が不足しているというケースは少なくありません。また生徒が得ている情報も一元的で、小論文や面接に臨むにはやはり知識が足りません。
「静岡新聞データベースplus日経テレコン」を利用すると、生徒の進路について、短時間でより多くの情報や知識を集めることができます。また新聞のコラムや社説は非常に有用で、そのまま小論文の題材にもなります。
この新聞データベースの活用で、受験に向けた生徒の思考力・判断力の醸成だけでなく、学び続ける教員の姿を示せればと考えています。